農業簿記

  • 農業簿記は、基本的には商業簿記、工業簿記と大きな違いがある訳ではありませんが、勘定科目等の一部に農業特有のものがあります。
  • 経理担当者は、日商簿記の3級または2級の資格を有していることが望ましいです。

1.農家の経済部門

・個別経営体(家族的農業経営)の場合、農家の経済は農業経営部門と家計部門から構成されています。このような場合、家計部門を分離して記帳、集計する必要があります。

2.農業特有の勘定科目

・クミカン:黒字であれば当座資産、赤字であれば流動負債になります。
・立毛作物(たちげさくもつ):12月31日が会計期間末における秋まき小麦のように、生育中の作物のことで、棚卸資産に属します。同様なものに、育成牛、小家畜などがあります。これらは、育成仮勘定として有形固定資産に区分してもかまいません。
・購入品(原材料):使う予定で購入した生産資材のうち残ったものを購入品(原材料)と呼び、棚卸資産に属します。
・暗渠、草地更新費:土地改良に要した経費は繰延資産に区分します。ただし、補助金は除きます。
・客土:固定資産のうちの投資等に区分します。
・農協出資金:投資等に区分しますが、これを現金化するときは農協を脱退するときなので、かなり固定性が高いと認識しておきます。
・事業主借、事業主貸(△):これらは個人事業の経理で使用する勘定科目で資本(純資産)の部に区分します
・勘定科目の設定は、経営内容、記帳目的により変わります。税金の申告業務を意識すると組合員勘定(クミカン)との整合性を取ることになりますが、経営の管理に役立てたいなら経営体に合った勘定科目を設定すべきです。

3.資産の評価

・資産を評価する方法は色々あり、適切な方法を用いないと経営分析の値が変化し、真の経営の姿が歪んでくることがあります。
・資産の中で大きな位置を占める土地については、基本的に取得価額をもって評価額としますが、購入年次が古く取得価額がわからない場合や、著しく安いものについては、法的地価を用いて評価します。

※秀農業経営コンサルタントでは、顧客様が農業簿記に取り組む中で疑問点が生じた時にわかりやすく説明いたします。