ファレノプシス・ナガオコナカイガラムシ

農薬に関する記述については執筆当時のものであり、農薬を使用する場合は、必ずラベルの記載事項を確認し、適正に使用すること。

1.概要

2.被害のようす

(1) 発生動向
各地の温室で発生している。
(2) 初発のでかたと被害
1) 初発のでかた
・株元や葉の裏、あるいは新葉の周辺、ときに花蕾や花梗に真綿状の白いカビのようなものが付着する。これはコナカイガラムシの分泌物で、その中に白いロウ質物で覆われたコナカイガラムシが見える。
2) 被害
・被害株は生育が衰える傾向がある。
・多数のコナカイガラムシが寄生すると、生育が著しく衰え、とくに激しい場合は枯死する。

3.害虫の生態と発生しやすい条件

(1) 害虫の生態
・雌成虫は長楕円形で体長3~4mm、淡黄色、背面は白色粉状のロウ質物で覆われ、白い小さなわらじのようなカイガラムシである。吸汁加害するのは幼虫と雌成虫である。カイガラムシといっても、硬質のいわゆる介殻はかぶらない。しかし、白い粉状のロウ質分泌物で覆われて保護されている。成虫も脚を有し、歩行可能である。
・幼虫は卵胎生で生まれ、雌成虫は長期にわたって幼虫を産出し続ける。熱帯地域に広く分布し、果樹や鑑賞植物の害虫となっているが、日本では野外では発生せず、温室でのみ認められている。
・ファレノプシスには、コナカイガラムシとカタカイガラムシがしばしば認められる。白い粉状または真綿状の分泌物で覆われているのはナガオコナカイガラムシで、体後部の一対のロウ質分泌物の突起は体長と同じかそれ以上に長い特徴がある。ハンエンカタカイガラムシは光沢のある茶褐色の隆起した半球形で、主として葉の裏側に寄生している。
(2) 発生しやすい条件
・ヤシ類、ソテツ、熱帯果樹などを温室に持ち込むと発生しやすい。

4.防除のポイント

(1) 耕種的防除
・温室の通風・換気に努め、密植を避ける。
・コナカイガラムシの寄生を認めたら、歯ブラシや先の丸いピンセットなどで、葉を傷めないように注意しながら払い落とす。
(2) 農薬による防除
・発生しやすい温室では、スプラサイド乳剤、スミチオン乳剤、オルトラン水和剤各1,500倍液のいずれかを毎月1回散布する。
・発生を認めたときは、加害している成虫や幼虫を払い落としたのちに、スプラサイド乳剤を上記に準じて散布する。
・1回や2回の散布では効果が見られないことがあるが、定期的に散布を繰り返すことが必要である。