ファレノプシス・オンシツケナガコナダニ

農薬に関する記述については執筆当時のものであり、農薬を使用する場合は、必ずラベルの記載事項を確認し、適正に使用すること。

1.概要

2.被害のようす

(1) 発生動向
・千葉県内各地のファレノプシス栽培温室で発生しているほか、宮崎、山梨、静岡の各県でも発生し、問題になっている。外国ではアメリカやヨーロッパに分布している。
(2) 初発のでかたと被害
1) 初発のでかた
・蕾では、しだいにふくらんで割れ目がみられるころ、黄変あるいは退色すると同時に生気を失い、しぼみ、のちに落下する。
・開花した花では、間もなく生気を失い、花弁がしおれ、ひどくなると落花する。
・このような症状の現われた蕾や花にはオンシツケナガコナダニが蕾や花の内部、特に花粉塊の周辺に侵入、寄生している。
2) 被害
・蕾が落下し、花弁がしおれたり花が落下したりする。
・開花後ある日数が経過すると、コナダニの寄生を受けても被害が生じない傾向がみられるようである。

3.害虫の生態と発生しやすい条件

(1) 害虫の生態
・オンシツケナガコナダニはハウス、温室で発生が多い。しかし、年間の発生消長などはほとんど知られていない。
・その他生活サイクルなどについては報告がない。
(2) 発生しやすい条件
・ファレノプシスが開花するとともに発生数が増えるが、詳細については明らかにされていない。

4.防除のポイント

(1) 耕種的防除
・オンシツケナガコナダニは花茎や支柱を伝って蕾に侵入するとみられることから、花茎や支柱の下方にシリコングリースなどの粘着物を塗布すると、コナダニの侵入を阻止することができ、蕾と花の被害を軽減できる。ただし、効果の持続期間はせいぜい1か月で、日数の経過により、粘着性が低下すると効果が落ちる。
(2) 農薬による防除
・千葉農試の試験によると、トクチオン乳剤、バイジット乳剤、コロマイト乳剤などの効果が高いようである。