マクワウリの栽培

Ⅰ.マクワウリの概要

1.マクワウリの導入

(1) 栽培面での特徴
・野菜の中でも最も高い温度(生育適温25~30℃)を好むので、十分に暖かくなってから栽培にとりかかる。
・栽培面でのポイントは、温度を確保することと、適切な整枝で受光体制を良くすることである。
(2) 経営面での特徴
・北海道では、直売所を中心に人気のある野菜である。

2.来歴

・マクワウリは、ウリ科キュウリ属でメロンの一変種である。
・メロンは北アフリカや中近東地方が原産(インドが原産?)で、西方に伝わった品種群をメロン、東方に伝わった品種群を瓜(ウリ)と呼んでいる。
・マクワウリは、瓜の一種で12世紀頃から美濃国真桑村(現:岐阜県本巣市)でよく作られていたため、マクワウリの名前がつけられた。
・北海道では味瓜(アジウリ)、甘露(カンロ)とも呼ばれている。

3.分類と形態的特性

(1) 分類
・ウリ科キュウリ属の一年草である。
(2) 根
・マクワの根は浅く広く張り、過湿を嫌う性質がある。

4.生育上の外的条件

(1) 温度
・生育適温は25~30℃で、野菜の中で最も高い温度を好む。

5.品種

・北海道で作られているマクワウリの主な品種は次のとおりである。
(1) 北海甘露(ホッカイカンロ)
・北海道の改良品種で、果皮は深緑色、果肉は緑色で甘味が強い。
・月形町、浦臼町が主な産地である。
(2) 北海甘味瓜(ホッカイアマアジウリ)
・北海道の改良品種で、果皮は灰色、深緑の縦縞がある。
・果肉は緑色でマスクメロンのような香りがある。
(3) プリンスメロン(サカタ)
・マクワウリの一種(ニューメロン)と西洋のスペインメロンの一種(シャランテ)を交配させた品種でサカタのタネが開発したもの。

6.作型

・北海道での主な作型は次のとおりである。
(1) 3月下旬は種・5月上旬定植、7月中旬以降収穫作型(ハウス、トンネル、マルチ)
(2) 4月下旬は種・5月下旬定植、8月上旬以降収穫作型(トンネル、マルチ)
(3) 5月中旬は種・6月中旬定植、8月下旬以降収穫作型(マルチ)

Ⅱ.マクワウリの栽培技術

1.育苗

(1) 種まき
・発芽しにくいので、一晩水につけておく。
・育苗箱に条間9cm、株間2cmほどの間隔で条まきするか、または10.5cmポットに3粒ずつまく。
・種子は嫌光性なので、覆土は5mm~1cmと確実に行う。
・発芽適温は30℃前後と高いので、加温対策が必要である。
(2) 移植(鉢上げ)
・育苗箱のときは本葉が1枚のころ、3号ポット(直径9cm)に移植する。
・育苗ポットにまいたときは、本葉が出たころ間引いて1本立ちにする。
(3) 定植までの管理
・夜間の気温が18℃以下にならないように保温する。
・かん水は、夕方ポット表面の土が乾く程度に行う。
・本葉が4~5枚になるまで育苗する。

2.畑の準備

(1) pHの矯正と土壌改良
・酸性土壌に弱いので、植えつけの2週間くらい前までに石灰を施し、pH6.0~6.5程度に矯正しておく。
(2) 堆肥の施用
・前年秋に、完熟堆肥を10a当たり2~3t程度施用する。

3.施肥

(1) 施肥設計
1) 施肥設計(例)
・肥料は10a当たり窒素10kg、リン酸10kg、カリ10kg程度とする。

 区分 肥料名 施用量
(kg/10a)
窒素 リン酸 カリ 苦土 備考
基肥 S555 40 6.0 6.0 6.0 1.2
S009E 40 4.0 8.0 3.6 1.2
合計 80 10.0 14.0 9.6 2.4

 

4.定植準備

(1) 畝立て、マルチ
・定植の5~7日前に幅90cm、高さ10cmほどのベッドを作成し、マルチングして地温を上げておく(最低16℃以上)。
(2) 栽植密度
・栽植密度は畝幅210cm、株間80~100cm程度とする。

5.定植

(1) 苗の状態
・本葉4~5枚の状態で定植する。
(2) 定植の方法
・定植時は根を傷めないように、深植えにしないように注意して植えつける。
・なお、植えつけ前に本葉4~5枚で摘心しておく。

6.管理作業

(1) 仕立てと整枝
・親蔓は5~6節(本葉4~6枚)で、定植時に摘芯する。
・その後、勢いのよい子蔓を3~4本伸ばす。
・子蔓は10節前後で摘芯する。
・子蔓の1~4節にでた孫蔓は摘み取り、5~12節から伸びた孫蔓にだけ着果させる。
・雌花は孫蔓の第1節につく。
・孫蔓は放任で構わないが、より甘いものを採るには着果節から1節(1葉)おいて、その先を摘芯する。
(2) 開花と受粉
・定植後約30日で開花する。
・マクワウリは、雄花と雌花が別々の雌雄異花なので、虫の媒介がないと受粉しない。
・ハウスで栽培する場合や確実に受粉させるためには、雄花を取って雌花の雌しべに花粉をつけて人工授粉させる。
・受粉は、花の勢いがある午前中の早い時間帯に行う。
・なお、露地の場合は、蜜蜂などの虫によって自然受粉することが多い。
(3) 摘果
・摘果は自身の生理落果に任せておけばよく、放任でよい。
・着果をコントロールする場合、形のよい果実を選び、各子づるに3~4個残す。
(4) 追肥
・果実が卵大になったころ、蔓先に即効性化成肥料を窒素成分で10a当たり2~4kg追肥する。
・収穫前に窒素が残っていると糖分の蓄積が悪くなるので、注意が必要である。

7.主な病害虫

(1) 病害
・北海道において注意を要する主な病害は、うどんこ病、つる割病、半身萎凋病、べと病などである。
(2) 害虫
・北海道において注意を要する主な害虫は、アブラムシ、ハダニなどである。

8.収穫

(1) 収穫準備
・収穫の10日ほど前から、水やりを控えると果実の糖度が増し、裂果も防げる。
(2) 収穫適期と方法
・開花から35~40日ほどたったころに収穫適期となる。
・収穫の目安は、果梗がひび割れし、果実が簡単にとれる頃である。
・果梗の毛がなくなり、わずかに芳香が感じられたら完熟となる。
・完全に熟せば糖度12~13度内外になる。
・ただし、収穫期まで窒素が効いていると糖分の蓄積が悪くなることから、収穫前に窒素が切れる施肥が理想である。