アスパラガスの栽培

Ⅰ.アスパラガスの概要

1.アスパラガスの導入

(1) 栽培面での特徴
・アスパラガスは野菜では珍しいユリ科の多年生宿根性植物である。このため、他の品目と生理的、生態的特性が異なり、栽培法が大幅に異なる。
・アスパラガスは播種から約3年を経て収穫が可能となり、経年化とともに増収し、10~15年程度経済栽培が可能である。
・栽培面でのポイントは、最初に定植するほ場の土壌改良を十分行うことと、良質の苗を欠株なく定植すること、適切なかん水を行うことである。
(2) 経営面での特徴
・定植するほ場の土壌改良に初期投資が必要である(全作型)。
・基本的な作型である露地普通栽培では、5~6月に出荷が集中しての安値と、晩霜による被害発生のリスクがある。
・複数作型を組み合わせて収穫期を分散することは販売価格的には有利であるが、施設資材費や動力光熱費の負担が必要となる。
・所要労働時間は、10a当たり露地栽培で250時間、半促成栽培で370時間程度であり、収穫・調製作業が大半を占める。

2.来歴

・南ヨーロッパから温帯西部アジアが原産地とされるアスパラガスは、ヨーロッパではかなり古くから野生のアスパラガスが利尿剤、鎮静剤として用いられていたようで、ローマ時代には栽培が開始され食用に供されていたらしい記録があり、野菜としての利用はローマから全ヨーロッパに広がったものと見られる。
・ヨーロッパではアスパラガスといえばホワイトアスパラガスをさし、春を告げる野菜、春の風物詩として大切にされている。
・アメリカ大陸へは1620年に移民とともに渡り、中国へは清末期に伝来したとされている。
・日本へは1781(天明1)年以前にオランダ人によって長崎に観賞用として伝わり、当時は「オランダキジカクシ」、「西洋うど」、「松葉うど」など様々な和名がつけられていた。
・食用目的の導入は1873(明治4)年以降で、北海道開拓の中でアメリカやフランスから種を輸入して栽培の研究が進められ、大正12年、北海道の岩内において本格的なホワイトアスパラガスの栽培が始まった。
・ホワイトアスパラガスはすぐに組織がかたくなって苦味も出てくるため採取後すぐに加工する必要があり、2年後にはアジア最初の缶詰工場も生産を開始した。
・戦時中、一時廃れてしまったが戦後は北海道、東北、中部高冷地における加工用栽培の普及を契機に栽培が盛んとなった。
・昭和30年代当時はアスパラガスといえばホワイトアスパラガスの缶詰であったが、昭和30年代後半頃から食生活の洋風化が進み、加工用のホワイトアスパラガスに代わって栄養価のより高いグリーンアスパラガスが増加し、全国的に生産され周年供給されるようになった。

3.分類と形態的特性

(1) 分類
・ユリ科クサスギカズラ属の多年生宿根性作物
(2) 根
・元来、南ヨーロッパや南ロシアなどの半乾燥地帯で自生していた植物のため、湿害に弱いが乾燥に強く、地下の貯蔵根に養水分を貯めることができる根の構造をしている。
・根は糖分を蓄える貯蔵根と、養水分を吸収する吸収根がある。
・貯蔵根は2~3年程度、貯蔵器官の役割を果たす。
・根群の分布量は表層0~10cmでは4~7%と少なく、10~30cmに80~90%が分布する。
・根の分布は広く水平方向に1.5m程度、垂直方向に1m以上の深さに達する。
(3) 茎
1) 地上茎
・若茎:茎葉が展開する前の、鱗片葉で保護された収穫対象となる茎
・親茎(養成茎):1年目は1m程度、2年目以降は2m以上伸長し、側枝、2次側枝、3次側枝に分かれ3次側枝の先端に擬葉を展開する。
・擬葉:3次側枝の先端に展開する葉のように見える茎で、内部組織に多くの葉緑素を含み、アスパラガスの光合成の主体を担っている。アスパラガスの擬葉は一つ一つは細く小さいが、擬葉同士が日光をあまり遮ることがなく、株の中まで光が届きやすいので効率的に光合成を行うことができる形態と考えられる。
2) 地下茎
・アスパラガスの地下部には根株があり、地下茎と地下茎に着生している芽と根から構成されている。
・地上茎は上方向に伸長するのに対し、地下茎は横方向に1年間で3~6cm程度伸長する。
・地下茎の先端部には鱗芽群が形成され、翌年萌芽する。
・地下茎の基部外側には側芽が形成され、収穫等の刺激により側芽も萌芽し、貯蔵根や鱗芽群が新たに形成され、地下茎は複雑に分岐していく。
(4) 葉
・葉は茎の節に鱗片状に着いているが、葉緑素を含まないので光合成の機能はなく、若茎が伸長する際、先端部を保護する役割をもつ。
(5) 花と果実
・アスパラガスは雌雄異株で、雄株と雌株がある(全雄系品種はすべて雄株)。
・雄株は雌株より萌芽や開花が早く、発生本数が多い傾向があり、雌株は太茎が発生する傾向がある。
・雄株は雌しべが、雌株は雄しべが退化している。
・雌株には直径7~8mmの球形の果実が着生し、時期が来ると赤く熟す。1果には最大6個の黒色球形または短卵形をした種子を含んでいる。

4.生育上の外的条件

(1) 温度
・発芽適温は25~30℃と高く、この温度帯であれば10日程度で発芽する。20℃以下では発芽日数が長くなり、30℃を越えると高温障害による発芽不良となる。
・生育温度は5~35℃、生育適温は16~20℃で比較的低温域にある。
・平均気温が5℃以上になる頃から萌芽をはじめ、10~12℃以上になると本格的に伸長を開始する。
・収穫物となる若芽の伸長肥大は15~24℃が適温で、0℃付近で凍霜害を受け、25℃以上になると、伸長は早いものの若茎頭部のりん片葉が開きやすくなるなど、高温による品質低下を招く。
・同化生産物の転流は、20℃以下が適しており、温度が高いと貯蔵養分の蓄積がなされない。
(2) 水分
・植物体の約90%(若茎では約93%)が水分であることから、茎葉の発育に水分が不可欠である。
・野菜類の中でも、かん水の効果が最も顕著に現れる作物である。
(3) 光
・アスパラガスの光飽和点は、およそ4万~6万ルクス程度である。
(4) 土壌
・土壌に対する適応性は広く、ほとんどの種類の土壌で生育は可能である。
・経済性を考慮した場合、耕土の深い、比較的軽い土が適しており、地下水位も低い方がよい。

5.品種

北海道で作られているアスパラガスの主な品種は次のとおりである。
(1) ガインリム
・熟期は極早生で、低温萌芽性に優れ、収量性が高いオランダ育成の全雄F1品種である。
・倒伏しづらく、斑点病に対する耐病性もやや強く比較的管理しやすいが、低温でアントシアニン着色が出やすく、高温時は頭部が開きやすい等、品質面でやや問題になる点がある。
・ホワイト用、グリーン用のどちらの栽培にも向いている。
(2) スーパーウェルカム
・アメリカ育成の雌雄混合F1品種である。
・草勢は強く、ウェルカムより20~30%多収で若茎の1本重が重い(太物が出やすい)特性があり、収穫物の揃いもよい。
・ガインリムと比較して頭部のしまりが良く、アントシアンの発生も少ないが、耐倒伏性や斑点病の耐病性はやや劣る。
(3) ウェルカム
・草勢が強く、雄株率60~70%と高いため生育の揃いが良好な、極早生のF1品種である。
・頭部のしまりが良く、太茎で緑色も濃い。
・根から入るフザリウム菌やサビ病などに強く、秋まで茎葉のもちがよく次年度の萌芽率も高い。
・露地栽培のほか、早期出荷をねらう半促成、トンネル栽培に向いている。

6.作型

北海道での主な作型は次のとおりである。
(1) 春どり作型
1) ハウス半促成
・3月中旬~5月中旬収穫
2) 露地
・5月上旬~7月上旬収穫
(2) 立茎栽培
1) ハウス立茎
・3月下旬~5月上旬収穫(春芽)、6月下旬~9月下旬収穫(夏芽)
2) 露地立茎
・5月中旬~6月上旬収穫(春芽)、7月下旬~9月中旬収穫(夏芽)

Ⅱ.アスパラガスの栽培技術

1.育苗

・育苗方法には様々な方法があるが、ここでは、育苗畑で養成した1年苗を定植する方法(1年苗定植法①)と早期収穫(定植2年目収穫)を目的としたセル成型苗直接定植法②、9㎝ポリ鉢苗定植法③とする。
(1) 施設・資材の準備
・③は、3月上旬は種となるので、育苗ハウスは「電熱温床」+「二重ハウス」+「トンネル」が必要となる。
(2) 育苗土
・一般的に、市販されているセルトレイ専用(プラグエースなど)の培土を使用する。
・発芽率や良苗率等を考慮して、セルトレイ専用培土の量は10a当たり、①と②は88㍑、③は98㍑用意する。その他に、③は育苗土を640㍑用意する。
○自分で育苗土を作る場合は、次の要領で行う。
・床土は良質苗を育成するためにも、前年の夏~秋までの間に準備しておく。
・無病の肥沃な土壌に完熟堆肥を混ぜ合わせpHを6.0~6.5に矯正し、2~3回の切返しを行い、ビニールなどで被覆して越冬させる。
・床土は6~7mmのフルイにかけ、小石や土塊を取り除いて床土1L当たり窒素200mg、燐酸300mg、加里150mg程度の肥料を混ぜて使用する。
(3) 育苗容器
・①、②は10a当たり128穴セルトレイを25枚、③は28枚用意する。
・その他に③は9cmポリ鉢を2,300鉢用意する。
(4) 種まきと発芽
・種子は①、②は10a当たり1dl、③は1.1dl用意する。
・種子は皮が厚く硬いため、は種の2日前から30℃くらいのぬるま湯(2~3回取り替える)に浸漬し、水切り後播種する。
・セルトレイに1粒播きし、発芽までは28℃を目標に加温すると10~12日程度で発芽する。
(5) 鉢上げ、定植までの管理
・育苗管理の留意点は、表のとおりである。

生育時期 播種~出芽 出芽後~定植
温度管理 25~30℃ 15~25℃
・電熱線を設置した温床とトンネル被覆で温度を確保する ・鉢上げする場合、活着まではやや高めの温度管理とする
・本畑への定植1週間前から徐々に外気の慣らし、苗の馴化を図る
かん水管理 ・播種時は十分にかん水する
・出芽までは被覆している新聞紙が乾かないように適宜かん水する
・出芽が始まったら直ちに新聞紙を取り除く
・かん水は夕方表面の土が乾く程度に午前中に行う
・鉢上げする場合、鉢上げ当日に十分かん水して移植する
・本畑定植前日に十分かん水する

(6) 鉢上げ作業
・移植時の根鉢崩壊による植え傷みを防ぐため、鉢上げ前にセル成型苗へ十分かん水を行う。
・セル苗は小さなフォークを使用すると根鉢を崩さずにセルトレイから抜くことができる。
・植付け深度はセル苗の表面と9cmポットの表土が同じ高さになるような深さで行う。
・鉢上げ作業はできるだけ午後2時までには終えるようにする。
(7) 苗質の目安
・①、②の定植時および③の鉢上げ時の苗質の目安は草丈15cm、茎数2~3本程度、③の定植時の苗質の目安は草丈30cm、茎数5~6本程度である。

2.育苗畑の準備と管理(1年苗定植法①の作業)

・①では育苗畑で1年間苗を養成した後、本畑へ定植する。
(1) 育苗畑の準備
・育苗畑は作土が深く排水良好な土壌とし、前年秋に堆肥を10a当たり3~5t施用して深耕しpHは6.0に矯正しておく。
・施肥は10a当たり窒素10kg、リン酸20kg、カリ10kg程度を全面施用する。
(2) 育苗畑への移植
・セル苗の育苗畑への移植は気温15℃以上、地温15℃で晩霜の恐れがなくなる時期に行う(北海道では6月上~中旬頃)。
・栽植密度は45cm×9cmとし、本畑10a当たり育苗畑100㎡、2400株程度移植する。
(3) 育苗畑の管理
・稚苗期は雑草が繁茂しやすいが、除草剤を使用すると生育に影響を及ぼす恐れがあるので手取り除草で対応する。
・倒伏防止や防除等の管理は定植畑と同様とする。
(4) 生育目標
・1年苗の生育は総茎数20本、草丈80~100cm、地下部重300~400g程度を確保するようにする。

3.本畑の準備

・アスパラガスは定植後十年程度は継続して利用する作物であるため、一度定植するとその後の改良は非常に困難である。このため、定植時のほ場選定と土壌改良の良否がその後の生育・収量・品質に大きく影響する。
(1) 適土壌
・通気性・保水性・排水性が良好な、最低3年以上アスパラガス以外の作物を作付けしたほ場が望ましい。
(2) pHの矯正と土壌改良
・新植する前年に予定地の土壌分析を行って 土壌の化学性を確認する。
・土壌サンプルは深さ0~15cm、15~30cm、30~45cmの3層に分けて採取し、改良可能深を確認する。
・pHは6.5、有効態リン酸は30~40mg/100gを目標に改良する。
(3) 堆肥の施用
・完熟堆肥を耕起深10cm当たり10t以上全層に散布し、土壌と混和する。
・未熟堆肥を定植年に施用すると立枯病、株腐病によって欠株が発生するので注意する。
(4) 定植初年目の施肥
・施肥量は10a当たり窒素10kg、リン酸20kg、カリ10kgを標準とする。

4.定植

(1) 1年苗定植法①における定植
1) 苗の選別
・苗素質は根数で15本以上、根長が15cm以上が望ましい。
・大苗(根数20本以上)、中苗(根数10~19本)、小苗(それ以下)に分類して定植する(小苗はできるだけ利用しない)。
・掘り上げ後一時保管する場合は乾燥に注意し、冷暗所に置く。
・掘りあげた苗はできる限りその日の内に定植する。
・長期間保管する場合は薬剤で殺菌し、2~5℃の冷蔵庫に保管する。
2) 植溝掘り
・テーラー等で深さ15㎝程度、幅30~40㎝の溝を切り、定植数日前に十分かん水しておく。
3) 定植方法
・栽植密度は畦幅180cm、株間30cm、10a当たり1,850株を目安とする。
・定植作業は5月上旬(遅くとも5月中旬)までに行い、十分根を張らせ茎葉の生育期間を確保する。
・植付けの深さは15cm程度(粘質系の土壌ではやや浅め、砂質系の土壌ではやや深め)とする。
・植え溝内の中央をやや高めにしてりん芽を中心に根を左右に広げて苗をまたがせ、根際を押さえて5cm程度の覆土をし、その後は十分鎮圧する。
4) 土寄せ
・定植後に新しい若茎が伸びてきたら中耕除草を兼ねて7月末までに2~3回に分けて土寄せを行う。
・一度に土が戻り、株全体が埋もれないように注意する。
(2) セル成型苗直接定植法②および9cmポリ鉢苗定植法③における定植
1) 苗の選別
・欠株を防ぐため根量が多く、茎葉部がしっかりした苗を選別して定植する。
2) ほ場の準備
・定植はマルチ栽培とし、畦はあまり高くしない。
・マルチは土壌水分がある状態で定植の10日前までに設置しておく。
・地温と水分保持のためマルチは定植まで植穴を開けない。
3) 定植方法
・栽植密度は畦幅180cm、株間30cm、10a当たり1,850株を目安とする。
・定植作業は、北海道では霜害等の危険がなくなる6月上~中旬に行う。
・マルチ穴は株の生育を考慮して、幅10cm位の十文字状の切れ目を入れて定植する。
・定植当日は苗にたっぷりとかん水する。
・植付けの深さはセル成型苗直接定植の場合、地表から5cmくらいくぼませた状態で植え付け、覆土は行わないよう注意する。
・9cmポリ鉢苗定植の場合は、地表面と同じ高さで植え付ける。

5.定植初年目の管理

(1) 除草
・定植初年目はアスパラガスの地上部の茎葉が少ないため、地表への光の投射量が多く雑草が発生し易くなる。
・しかし、稚苗期のアスパラガスの除草剤の使用は薬害が出やすいため、手取り除草やマルチ栽培を行うことにより極力除草剤の使用は控える。
(2) 追肥
・マルチ栽培の場合は追肥は行わない。
・無マルチ栽培の場合は7月中旬~下旬頃に株元から15㎝ 程度離れたところに施用し、同時に土寄せを行う。
(3) 倒伏防止
・欠株を防止したり根部への養分転流を促進させるため、ハウスバンドやフラワーネットを利用して倒伏防止を行う。
(4) 病害虫防除
・病害虫の被害を受けるとダメージが大きいので、しっかりと防除を行う。
(5) 茎葉処理
・同化養分を地下部に十分移行させるため、茎葉は越冬前に完全に黄変枯死したらそのまま冬越しさせ、融雪後に刈り取って焼却する。
・マルチの剥ぎ取りも翌春に行う。

6.定植2年目以降の管理

(1) 施肥
1) 春肥
・融雪直後~萌芽前に10a当たり窒素成分で5kg程度、株から30cm程度離れた場所に施用してロータリ等で軽く混和する。
・肥料が直接株上にかかると萌芽した若茎に縦割れが生じたり、場合によっては茎葉が枯れることがあるので注意する。
2) 基肥
・収穫終了10日前~収穫終了直後(定植2年目で収穫を行わない場合は7月中旬~下旬頃)に、10a当たり窒素成分で15kg程度、緩効性肥料(UF764等)を春肥の施用と同様に株から30cm程度離れた場所に施用して、ロータリ等で軽く混和する。
・施用量が多すぎると翌年の若茎が曲がったり、奇形になる場合があるので注意する。
(2) 倒伏の防止
・アスパラガスは揺れに極端に弱い作物なので、支柱などを用いて茎葉を支持し倒伏を防止する。
・支柱は3~5m間隔で設置し、1段目は60cmの高さで2段目は100~120cmでハウスバンド等を張る。
・倒伏を防止することにより薬剤散布等の管理作業が容易となり、受光体制の向上で安定した株養成が可能となる。
(3) トッピング
・受光体制をよくするために高さ150cmくらいでトッピングする。
(4) 除草
・アスパラガスにおける除草剤散布のタイミングは、大きく分けて萌芽前と収穫打ち切り後の2回である。
・除草剤には土壌処理剤と茎葉処理剤の2種類があるので、それぞれの特性に応じて使い分ける。
・年に1回しか使用できない剤が多いので注意する。
(5) 茎葉処理と土壌管理
・秋、2~3 回強い霜が降りて茎葉が完全に枯れ上がってから茎葉を刈りとる。
・残茎で病害虫が越冬するので、できるだけ地際部近くで刈りとる。
・刈りとった茎葉は畑の外に持ち出し処理する。
・茎葉の処理が終わったら土寄せしてあった土を畝間に戻し、あらかじめ散布しておいた完熟堆肥や稲わらに石灰チッソを加えたものとともに中耕して腐熟を進めておき、翌春、株元に培土する。これにより土壌の乾燥を防ぎ、収量・品質の向上を図ることができる。

7.病害虫防除と生理障害

(1) 主な病害虫
・北海道において注意を要する病害は、茎枯病、立枯病、斑点病などである。
・北海道において注意を要する害虫は、アザミウマ類、ジュウシホシクビナガハムシ、ツマグロアオカスミカメ、ヨトウガなどである。
(2) 防除
・露地春どり栽培の場合、最初の擬葉が展開したら(遅くとも収穫終了後30日後から)防除を開始し、その後は10~14日間隔で5~6回防除する。
・アスパラガスの場合、収穫終了後から次年度の収穫終了までを1サイクルと考えて農薬使用のカウントとする。例えば、収穫終了後に害虫の防除でランネート45DFを1回使用すると、この剤の使用回数の制限は1回なので、次年度は収穫を終えるまで使用できないので注意が必要である。
(3) 生理障害
・主な生理障害は、アントシアン着色、空洞茎、タケノコ茎、パープルスポット、割れ、曲がり、扁平茎、鱗片葉の開きなどである。

8.収穫

(1) 収穫期間の設定
・収穫初年目は5~7日、2年目は14~21日程度の期間とし、前年の生育量に合わせた収穫期間の設定とする。
・5年目以降は細い茎の比率が高まったり、穂先の開きが目立ってきたり、若茎の曲がりが多くなったときや日収量がピーク時の30%以下、または1日当たり収穫量が7.5kg/10a程度となったときを目安として収穫を打ち切る。
・遅すぎる切り上げは次年度の収量低下につながり、早すぎると過繁茂につながる恐れがあるので注意が必要である。
(2) 収穫方法
・気温の低い時期は1日1回、気温が上昇するのに合わせて1日2回に分けて収穫することで収量および上位規格率を高めるようにする。
・収穫は朝または夕方に行い、品質の低下を極力避ける。
・収穫後は直射日光や高温は厳禁で、できるだけ早く涼しい場所に保管する。

9.施肥のまとめ

・各ステージでの施肥設計(例)は次のとおり。
育苗用床土

区分 肥料名 施肥量 窒素 リン酸 カリ 苦土 備考
基肥 S121 2kg 2.0 4.0 2.0 0.6  ・床土1000㍑当たり
合計 2kg 2.0 4.0 2.0 0.6

育苗畑

区分 肥料名 施肥量
(kg/10a)
窒素 リン酸 カリ 苦土 備考
基肥 S121 100 10.0 20.0 10.0 3.0 ・追肥は7~8月に生育状況に合わせて行う
追肥 硫安 20 4.2
合計 120 14.2 20.0 10.0 3.0

定植年

区分 肥料名 施肥量
(kg/10a)
窒素 リン酸 カリ 苦土 備考
基肥 UF764 60 10.2 9.6 8.4 3.0 ・定植年はマルチをするので、追肥は行わない
ダブリン 30 10.5 2.1
合計 90 10.2 20.1 8.4 5.1

定植2年目以降

区分 肥料名 施肥量
(kg/10a)
窒素 リン酸 カリ 苦土 備考
春肥 S444 35 4.9 1.4 4.9 1.8 ・春肥は融雪直後
・追肥は収穫終了1週間前~収穫終了直後に行う
追肥 UF764 90 15.3 14.4 12.6 4.5
合計 125 20.2 15.8 17.5 6.3