タマネギの栽培

Ⅰ.タマネギの概要

1.タマネギの導入

(1) 栽培面での特徴
・栽培面でのポイントは、ほ場の排水性・保水性を高め、作土層の富栄養化に努めること、健苗を適期に定植すること、病害虫の防除を確実に行うことである。
(2) 経営面での特徴
・一般畑作物に比較して収益性が高く、土地生産性、労働生産性ともに優れた作物である。
・北海道のタマネギは全国の約半分を占めているが、府県の作付け転換が進みつつあることから、北海道の面積は増加していくものと思われる。
・機械化作業体系が確立して大規模栽培ができること、連作が可能なことなどにより専業または基幹作物のひとつとして栽培できる作物である。

2.来歴

・タマネギはユリ科のネギ属に属し、原産地は中央アジア(現在のイラン、西パキスタンの辺り)だと推測される。
・タマネギの作物としての歴史は古く、紀元前のエジプトではピラミッド建設従事者が多量のタマネギを食用にしていたことがHerodotusにより記録されている。
・その後、地中海地方から欧州へと広がり、中世の欧州ではすでに一般的な野菜として広く用いられていたことが分かっている。
・北米大陸には移民とともに広まり、その過程で日長・気候等に合わせた多くの品種群に分化してきた。
・原産地より東へはなかなか伝わらず、日本には江戸時代末期になってようやく欧米より導入されてきた。
・わが国の代表的な在来種は、2種類のアメリカ系品種から派生したと考えられている。
・北海道では明治初期に導入された「イエローグローブダンバース」から「札幌黄」が改良され、春まき用品種として約100年もの間栽培されてきた。
・また大阪では、やや遅れて導入された「イエローダンバース」から「泉州黄」が派生して土着に成功し、これから数多くの品種が分化した。
・その後、「愛知白」「湘南レッド」といった黄色種以外の品種が、ヨーロッパより導入されたものから派生した。
・現在の日本のタマネギは、F1品種栽培の時代であり、一部の特別な品種を除きほとんど全ての栽培品種がF1品種となっている。

3.分類と形態的特性

(1) 分類
・ユリ科(ヒガンバナ科)ネギ属の二年草である。
(2) 根
・タマネギの根は浅根性で吸収力が弱いので、定植後根を充分に伸長させるために年次的な深耕に努めたり、作土層の富栄養化に努める必要がある。
・また、少しでも根を地中に深く伸ばさせるために、隣りあう株との根が重なるぐらいの狭めの株間(6~7cm)で苗を密植する。
・タマネギの根は浅根性で、大部分の根は地表から20cm以内に存在する。
(3) 茎葉
・貯蔵力は早生品種で弱く、晩生になるほど強い。
(4) 花芽分化と抽苔
・花芽分化は、ある程度の大きさ(品種によって異なる)になったタマネギが、17℃以下(特に9~13℃)の低温に連続して遭遇したときに起こるとされている。
・低温遭遇中に25℃以上の高温があった場合、低温の影響が解消される離春化現象がある。
・体内窒素濃度が低いと花芽分化しやすいとされており、花芽分化後の花茎伸長は高温長日によって進む。

4.生育上の外的条件

(1) 温度
・タマネギは冷涼な気候を好む作物で、生育適温は15~20℃とされている。
・発芽の最低温度は4℃、根の発育適温は12~20℃とされている。
・育苗中の耐寒性は、-2.5℃では障害は認められないが、-5℃に2時間、-7℃に1時間で凍害の影響が現れる。
・球肥大の適温は15~25℃とされており、25℃以上では肥大が抑制される。
・寒さにはきわめて強く氷点下でも凍害を受けにくいが、暑さには弱く25℃以上になると生育障害を受ける。
(2) 光
・球の肥大には温度のほかに日長がある程度以上に長いことが必要で、早生で12時間、中晩生種で14時間以上である。
・枯葉休眠に必要な日長は、「札幌黄」の場合で14.25時間以上とされている。
(3) 土壌
・タマネギは根が太く細根が少ないため、リン酸の利用率が悪く、リン酸吸収係数が大きく、可給態の少ない畑では収量を大きく左右する。

5.品種

・北海道で作られているタマネギの主な品種は次のとおりである。
(1) 北もみじ2000(七宝)
・早生品種の「オホーツク」と中晩生品種の「スーパー北もみじ」の中間に位置する中生種。
・倒伏期、枯葉期は「スーパー北もみじ」より早い。
・玉揃いが良く、抽苔の発生が極めて少なく、規格内率が高い。
・球形は地球型で首しまりが良く、肩落ちしにくい。
・外皮は赤銅色で皮が厚く密着しているので、皮むけによる規格外品の発生が少ない。
・極めて高い貯蔵性があり、翌年の5月頃まで出荷することができる。
・乾腐病、ボトリチス属菌による葉枯性病害に抵抗性がある。
(2) オホーツク222(七宝)
・「オホーツク1号」の改良型品種で、熟期は早生、抽苔が少なく早期定植が可能である。
・一球重は「オホーツク1号」並だが、規格内率が高いため規格内収量は優る。
・球品質は芯ずれ、抱き球の発生が少なく、締まりも良好である。
・また、辛みが少なく、みずみずしくて果肉がやわらかく歯ざわりも良い。
・貯蔵性は「オホーツク1号」より高く、年明け2月まで出荷可能である。
・乾腐病に抵抗性がある。
(3) 北早生3号(七宝)
・熟期は、極早生である。
・収量性は「北はやて」並で、乾腐病に対する抵抗性はない。
(4) 北はやて2号(タキイ)
・8月上旬より出荷可能な極早生種である。
・収量性は「北はやて」より多収で、甲高豊円でよく揃い、裂皮は極めて少なく、色・テリ・ツヤなどの外観品質に優れる。
・辛味が少なく生食向きのタマネギである。
・貯蔵性はない。
・茎葉病害に強く減農薬栽培向きであるが、乾腐病の耐病性は貯蔵種ほど強くない。
(5) スーパー北もみじ(七宝)
・中晩生品種で一球重が大きく、総収量、規格内収量ともに高い。
・玉揃い・玉締まりが良く、抽苔の発生は少ない。
・球形は地球型、外皮は赤銅色で皮が厚く密着しているので、皮むけによる規格外品の発生が少ない。
・萌芽、茎盤突出が少なく、特に貯蔵性に優れ、翌年の5月頃まで出荷することができる。
・乾腐病に抵抗性がある。

6.作型

・北海道における主な作型は次のとおりである。
(1) 早期は種
・1月下旬~2月中旬は種、4月中旬~4月下旬定植、8月上旬~8月中旬収穫
(2) 普通は種
・2月下旬~3月中旬は種、4月下旬~5月上旬定植、8月下旬~9月中旬収穫
(3) 春まき(直播)
・4月中旬~5月上旬は種、9月中旬~9月下旬収穫

Ⅱ.タマネギの栽培技術

1.育苗

(1) 施設・資材の準備
・苗床は日当たり、風通し、水はけ、水もちのよい場所、また、育苗期間が50~60日と長いのでよく肥えた場所を選択する。
・育苗期間中に融雪期になるので明暗きょを設置し、排水を良くしておく。
・新しく苗床を造成する場合は、前年のうちに緑肥を栽培し完熟堆肥を施用して地力を高めるとともに必ず土壌診断を実施し、早めに土壌改良資材を施用して改良しておく。
・苗床の土壌改良目標はpH6.0~6.5、有効態リン酸100~130mg/100gとする。
・苗床の施肥は1a当たり窒素1.2kg、リン酸2.4kg、カリ1.2kgを目安とする。
・苗床面積は、セル苗(みのる式)育苗では、移植本畑10a当たり約20㎡確保する必要がある。
(2) 地力の維持
・後地利用などで他作物を栽培した場合は、9月上旬までに収穫を終え、完熟堆肥などを施用し秋のうちに分解させておく。
・緑肥を栽培した場合は8月中旬までにすき込み、2~3回ロータリを掛けて秋のうちに完全に分解させておく。
・は種予定の20日くらい前に、除雪を行ってビニールをかけ、床土の乾燥と地温の上昇をはかる。
・なお、ハウスの骨組みは前年の秋のうちに設置しておく。
・黒穂病等の発生ハウスは、夏の間に薬剤による土壌消毒を行っておく。
・十分に水を打った地床に根切りネットを張るか、底が網状になった育苗箱を置き、その上にセルトレイを並べる。
・トレイの上からも培養土が流れないようゆっくりとかん水する。
(3) 種まき
1) 播種時期
・は種時期は、定植時期より逆算して決定する。
2) 播種量
・は種量は10a当たりセルトレイ75枚(33,600穴)用意することから、コ-ト種子10a当たり3.5万粒となる。
3) 播種方法
・は種前に床土を乾燥させ、適水分となったら砕土整地を丁寧に行い、天気の良い日を選んで地温の上昇した日中には種する。
・覆土深は1cmとし、浅い場合は転び苗防止のためフルイを通した土をかける。
・は種後は薄く覆土を行い、地温の上昇や乾燥を防ぐため寒冷紗等を被覆し、たっぷりかん水し発芽を揃えるようにする。
・なお、発芽までは土壌に充分湿り気を持つように管理する。
(4) 育苗管理
1) 発芽から本葉抽出までの管理
・適温18~23℃(最高気温25℃、最低気温18℃)で管理する。
・条件がよいと播種後5~6日で発芽するため、寒冷紗等の被覆物を除去する(除去が遅れると作業時に苗を引き抜くため注意する)。
・被覆除去後は直ちにかん水し、覆土を乾燥させないように注意する。(1箱当たり0.2~0.3㍑)
・被覆を除去した後の数日間は、早めにトンネル被覆して保温する。
・換気する場合は、直接冷風に当てると葉先枯れ(脱水症状)や黄化などで生育抑制を起こすので、必ず風下側で換気する。
2) 本葉抽出以降の管理
・本葉2枚目が出てきてから、かん水はやや控え根の伸長を図る。
・かん水のタイミングは、ポットの覆土の半分が白く乾いてから、ムラのないように適宜かん水する。
・加湿にすると苗が徒長したり、立枯病や、かびの発生が多くなる。
・適宜換気を行い、トンネル内の温度を25℃以上にしないように管理する。
・定植予定の15日前頃からトンネルを除く。
・定植の10~14日前にはかん水を打切り、ポット強度を高める。
・ただし、かん水打切り後6~7日目頃にポットが崩れないで抜けるときは、適宜少量かん水する。
・移植前日にはたっぷりかん水し、ポットに十分水が浸みるようにする。
・苗床期間中、気温が高く降雨が多い場合は徒長傾向となるため、苗が倒伏する前に草丈長の1/3以内を目安に好天の日、葉先を剪葉(カット)し腐敗病予防のため薬剤による防除を実施する。
・苗の葉身切除は、定植直前ではなく5~6日前に行う
・なお、剪葉した残さについては病害発生防止のために、極力苗床外に搬出する。
(5) 苗床における主な生理障害と対策
1) 濃度障害
・葉色が黒ずんだり根の先端が褐変し艶がなく縮れて短い場合、バンドの下やハウスの縁など多水分の所の生育が良く乾く所の生育が悪い場合は、施肥過多(特に窒素)の可能性が高い。
・この場合はかん水を繰り返し、肥料濃度を薄める手立てをとる。
2) リン酸欠乏
・全般的に茎葉の生育不良であったり、客土や深耕部分、心土破砕部分が生育不良である場合は、土壌中リン酸濃度の低下の可能性がある。
・過リン酸石灰等を散布し、中耕後十分にかん水する手立てをとる。
3) 窒素欠乏
・全体に葉色が黄変し生育が不良となる場合は、炭素率の高い未熟有機物の施用や窒素施肥量の不足、かん水過多による窒素流亡などによる窒素の欠乏の可能性がある。
・硝安等を散布し、十分にかん水する
4) 石灰不足による低pH、石灰質の施用不足
・全般的に生育不良の場合、石灰不足による低pH、石灰質の施用不足の可能性がある。
・防散炭カル等を散布し、十分にかん水する
※肥料や石灰を追肥する場合は、葉の露が落ちてからムラなく散布し、直ちに十分かん水を行って葉から肥料を洗い流す。

2.畑の準備

(1) 堆肥・有機物の施用
・堆肥や有機質肥料の春施用は、タマネギバエやタネバエを誘引する恐れがあるので、秋施用する。
(2) 土壌pH、リン酸等の矯正
・酸性土壌に弱く、pH6.0~6.8程度がよいとされる。
・新畑の熟畑化には2~3年かかるので、計画的にリン酸資材や石灰・有機物を施用し、土づくりをしておく。
・特に、火山灰土では、一度にリン酸を多量投入すると乾腐病が発生しやすいので注意が必要である。
・一般畑からタマネギ畑に転換する場合、深さ20cmまでの土壌改良を行うには、リン酸成分で300~400kg/10a程度(土壌診断による)が必要である。

3.施肥

(1) 肥料の吸収特性
1) 総論
・タマネギは生育期間が長い割に養分吸収量は少ない作物である。
・養分の吸収はカリが最も多く、ついでに窒素、石灰、リン酸の順であるが、球に貯えられるのは窒素、カリ、リン酸の順である。
2) 窒素
・窒素は生育、収量、品質に大きな影響を与える。
・球肥大期の窒素の肥効は抑えた方が玉伸びがよくなる。
・窒素の過剰吸収は、生育初期では乾腐病(尻腐れ)、生育後期では軟腐病の発生を助長し日持ちが悪くなる。
・化学肥料からの窒素は、多くても12~15kg/10a程度に抑え、窒素過多による肥料ヤケのための活着不良・生育遅延・軟腐病などの病害虫多発・貯蔵性の低下などをまねかないように注意する。
・窒素が遅効きした球や遅く窒素を追肥した球は、窒素を追肥しない球よりも萌芽が早い。
・砂質土壌では、窒素の分解流亡が早いので窒素の多肥や追肥をしがちであるが、肥料ヤケによる活着や初期生育の不良・乾腐病の発生を助長するので、有機質肥料の施用やロング肥料の活用(窒素成分で半量使用・70日タイプ)を検討する。
・窒素の追肥時期が遅くなると腐敗球が多くなる。
3) リン酸
・タマネギは根が太く細根が少ない為、リン酸の利用率が悪く、リン酸吸収係数が大きくて可給態の少ない畑では収量を大きく左右する。
・窒素やリン酸の多肥は風乾歩合、糖度を下げ、日持ちを悪くし腐りやすく品質の低下をもたらす。
・リン酸肥沃度が80mg以下の場合は、別途土壌改良材としてリン酸を施用する。
・窒素はもちろんのことリン酸の多施用も貯蔵性を低下させる。
・リン酸は全量基肥で、根の近くに施用しないと肥効が落ちる。
4) カリ
・カリは球の肥大に影響が大きく、特に生育後半に多く吸収させると貯蔵性が高くなり、カリが少ないと貯蔵中の腐敗が増加する。
・また、カリが不足すると、べと病が多くなる。
5) 微量要素
・ネギ類の特殊な臭気の主成分は硫化アリルという硫黄化合物で、硫黄を含む肥料の効果が大きい。
(2) 施肥設計
1) 考え方
・化学肥料からの窒素は多くても12~15kg/10a程度に抑え、窒素過多としない。
・熱水抽出窒素が ~5mgの場合10a当たり窒素施用量は15~20kg、5~10mgの場合10~15kg、10mg~の場合10kgとする。
・リン酸肥沃度が80mg以下の場合は、別途土壌改良材としてリン酸を施用する。
・生育期間を短くし、倒伏・根切り後の枯葉を促進するために、基肥窒素は一般栽培より減らし、追肥は絶対に行わない。
・また、必ず熟畑で栽培を行う。
2) 施肥設計(例)

 区分 肥料名 施用量(kg/10a) 窒素 リン酸 カリ 苦土 備考
基肥 DdS509 100 15.0 20.0 9.0 1.5
合計 100 15.0 20.0 9.0 1.5

 

4.定植準備

(1) 耕起
・定植時の基肥は根に近い位置が望ましいが、肥料の種類や量により濃度障害が生じる場合がある。
・苗の生育が不良であったり、本畑の整地が不十分で活着が悪かったりして基肥の吸収ができない場合、生育不良型の生育相となる。
(2) 栽植密度
・栽植密度は、畝幅30cm、株間11cm(30,300株/10a) を目安とし、防除用通路を必ず設置する。

5.定植

(1) 定植時期
・定植時期は、地温8℃以上を目安とする。
・定植が遅れると、十分な生育期間を確保できないために収量と品質に大きく影響するので、遅くとも5月20日までに終了する。
(2) 定植方法
・黒穂病、乾腐病、紅色根腐病に侵された苗や徒長苗などは除く。
・定植の前日に、必ず病害虫防除を行う。
・本畑の過乾燥防止のため、定植直前に仕上げロータリを掛ける。
・ほ場が過湿状態での定植は土の固結化をまねき、活着や生育の不良となるだけでなく、変形球の増加にもつながるので、できるだけ適湿の状態で定植する。
・ベンレート水和剤50倍液の苗浸漬は、活着不良となりやすいので、乾腐病多発ほ場でのみ使用する。
・降雨などで定植が遅れやむをえず抜き取った苗を保存する場合は、日陰のできるだけ温度の低いところで、吸水したむしろなどの上に立てて置き、遮光と蒸散抑制のためにシートで覆っておく。

6.管理作業

(1) ベタガケ栽培
・有利販売を行うために、安定的に8月中旬出荷を行うには、ベタガケ栽培が必要である。
・ベタガケ栽培の効果は場所によってやや差がみられるが、4~7日程度の生育促進効果がある。
・被覆期間は約30日間(たまねぎ生葉数6葉期まで)とする。
・ベタガケ資材の除去は、夕方か曇天の気温の低いときに行う。
・苗床で定植直前に殺菌・殺虫剤で十分に防除しておくと、被覆期間中の防除は原則として必要ない。
・気象条件によって病気の発生する恐れがある場合は、一時的に被覆資材を除去して防除する。
・また、ベタガケ除去後はできるだけ早く防除を行う。
(2) かん水
・かん水は、干ばつ時の活着や初期生育の促進に大きな効果がある。
・7月の球肥大始期以降のかん水は、病害を多発させ品質の低下をまねく可能性が高いので、原則として6月下旬までに終了する。
・かん水の時間帯は早朝や夕方が望ましく、できるだけ水滴を細かくし、1回のかん水量としては10~15mm(土質によって異なる)程度を目安とする。
(3) 中耕・除草・培土
1) たまねぎ畑に発生する主な雑草
・広葉雑草ではシロザ、イネ科雑草ではスズメノカタビラの被害が最も多く、キク科のノボロギクやタンポポの被害も熟畑を中心に見受けられる。
・防除が困難な雑草としては、アブラナ科のキレハイヌガラシとトクサ科のスギナなどがあげられる。
・この2種の雑草は、ラウンドアップによっても根まで完全に除草することが難しく、特にキレハイヌガラシは繁殖力が旺盛で、種子のほかにロータリなどで切断した根からも増殖し、年々被害が増加している。
2) 除草剤の薬害がたまねぎの品質と収量に及ぼす影響
・タマネギは、本葉6~8枚目が外皮(鬼皮)となるが、これらの出葉時期は6月中旬ころであり、この時期に除草剤の薬害を発生させると、品質と収量に大きな影響がある。
・アクチノール乳剤による薬害は、葉の折れ曲がりが発生し、規格内収量の減少と裂皮の増加に大きな影響がある。
3) 薬害防止対策
・夕方や曇天の低温時に散布する。
・除草剤用噴口を使用し、低圧で散布する。
・2度がけをしない。
・使用時期、生育ステージ、薬剤の種類、使用量、使用方法を十分検討する。
・遅くても、6月20日までの使用(アクチノール乳剤・バサグラン液剤は原則として6月上旬まで)とする。
・手取り除草は、軟腐病などの発生防止のために、6月末で終了させる。
・タマネギは雑草に弱いので、除草対策を早期に行う。

7.主な病害虫と生理障害

(1) 病害
・北海道において注意を要する主な病害は、かいよう病、乾腐病、紅色根腐病、黒斑病、小菌核病、軟腐病、灰色腐敗病、白斑葉枯病、べと病、ボトリチス貯蔵腐敗、りん片腐敗病などである。
(2) 害虫
・北海道において注意を要する主な害虫は、タネバエ、タマネギバエ、ネギアザミウマ、ネギコガ、ネギハモグリバエ、ヨトウムシ類などである。
(3) 生理障害
1) 皮むけ
① 球赤道部(胴)の皮むけ
球赤道部(胴)の皮むけは、移植の遅れや活着不良による生育の遅れ、除草剤の薬害、倒伏後の長雨や防除の失敗による茎葉の腐敗により皮への養分転流が不足し、皮が薄くもろくなった場合に発生する。
② 球茎盤部(尻)の皮むけ
球茎盤部(尻)の皮むけは、根切りの遅れや根切り後の長雨による二次生長、土と接触している尻部の皮の風化(枯葉休眠後の収穫遅れによる)などにより、尻部からの皮切れが生じ皮むけとなる。

8.収穫

(1) 収穫前の管理
1) 根切り
・根切りは通常、倒伏揃い後15日目頃に行う。
・ただし、裂皮・変形しやすい品種は早め(倒伏揃い後5~7日目頃)に行う。
・根切りが遅れると尻部からの皮切れが生じ、皮むけの原因となることがあるので注意する。
・根切りは天気の良い日を選んで行い、球を元の位置から動かさないように根をできるだけ短く切る。
・なお、根切り後も収穫終了まで必ず防除行うようにする。
・自走式根切り機や乗用田植機の走行部に装着できる根切り機が普及している。
2) 収穫準備
・収穫前に青立球、抽苔、不完全枯葉球、雑草などを除去する。
・特に雑草をそのままにすると球の乾燥が悪くなり、貯蔵腐敗の発生を助長する恐れがある。
(2) 収穫方法
1) 収穫適期
・収穫は葉の枯れ方ではなく、首部が枯れて切っても汁が出なくなったときを目安とする。
・葉が完全に枯れるまで待つと、収穫遅れとなりやすいので注意する。
2) 収穫作業
・収穫作業は雨上がり後などの悪条件での収穫を避け、天気の良い日に丁寧に実施する。
・特に、機械収穫では無理な作業を避け、品質低下を防止する。
3) 収穫後の注意点
・茎葉のタッピング後、降雨に当たると腐敗が多くなるので十分注意する。
・大コンテナへ収納する前に十分に地干し(または風乾)を行い、病害虫の被害球や規格外品を除去してから収納する。
・このとき、乾燥後も切り口から汁が出てくるタマネギは腐敗している恐れが高いので、規格内品に入れない。
・収穫時に長雨が続いて作業ができない場合は、晴れ間を選んで簡単な選別だけで一気に収穫し、風乾後天気の良い日を選んで丁寧に再選する。
・収穫方式には、大別すると圃場タッピング収穫方式と定置タッピング方式がある。
・地干しタマネギの葉鞘の切断(以後タッピング)に対し、スパイラルローラまたはディスク方式のタッピング機構が開発され、堀取りとタッピングを行いコンテナに収納する自走式コンバインハーベスタ、堀取りとタッピングを行い地干し列にする自走式ディガータッパー、拾い上げとタッピングを行いコンテナに収納する自走式ピックアップハーベスタ等、多くの圃場タッピング収穫方式が開発されている。
・定置タッピング方式は、茎葉付きのままピックアップハーベスタで収穫し、コンテナで風乾(キュアリング)後にタッピングする方式である。
・定置タッピング方式は収穫作業能率が高く、天候不順で地干し乾燥が進まない地域に適応し、タッピングは定置式の専用機で行う。
・人手不足が深刻化しているので、収穫方式や作業体系を十分に検討し、効率的な作業を行うように努める。
・出荷は、十分な風乾を行った後に行う。