オクラの栽培(暖地)

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1.作物の特徴と栽培のポイント

(1) 気温、光
・高温性の作物であり、昼温25~30℃、夜温20~23℃が適温で、最低気温が10℃以下では生育が止まり落花も多くなる。地温は20~25℃が適温である。
・光の要求量は高く、曇天が続くと花飛びにより節間が長くなる。
(2) 発芽
・発芽適温は25~30℃で、20℃以下では発芽しない。
・マルチの使用は地温確保と乾燥防止に効果が高い。
・硬実種子であるので、そのまま播種した場合は発芽不揃いとなり、発芽率も低くなる。
・一昼夜水に浸漬してまくと播種後4~5日で発芽が始まり、発芽率も80%を確保できる。
(3) 生育初期
・発芽後は丸型の子葉が2枚展開し、発芽後15~25日で第1葉を展開する。その後は2~4日おきに新葉を展開する。
・本葉2枚までの葉形は丸みが強く、品種の特性を示さない。
・一般に1番花が開花するころまでの生育は遅く、特に低温条件下での生育が遅い。
(4) 生育中期以降
・開花・着莢のころから生長は速くなり、草勢も強くなる。
・高温条件によって生育は進み、8月の高温期には3日で1葉展開する。9月に入ると4~5日かかるようになる。
・発芽後約45~50日で草丈は約50cmとなり、主枝の4~5節目に着花・開花する。
・開花は早朝から始まり、午後にはしぼむ。
・生育が順調に進んだ場合、播種後約70日で最初の収榎を迎える。
・1番花は開花後収穫までやや日数を多く必要とするが、その後、適温下では開花後4日程度で収穫できるようになる。
・栽培は霜の降るまで可能で、4月に播種して10月まで栽培した場合、草丈は2~3m、40節近くまで生育し、収穫莢数も1株当たり70莢程度となる。
・着莢率と品質は栄養状態と気象条件に大きく左右される。一般的に夏秋栽培では主枝で85%、側枝で60%くらいの収穫率である。
・各作型別の10a当たり収量は、露地栽培2.5t、トンネル栽培3t、半促成栽培3.5t、促成栽培5~6tが目安である。
(5) 栽培のポイント
・未熟果を収穫する果菜類(ピーマン、ナスなど)と同様の、生育初期の過繁茂を抑え、中期からは早めに追肥、灌水を行なう追肥型の肥培管理を行う。
・生育段階にあわせた摘葉、摘心、切返しの作業と病害虫防除を行なう。
収量:3t/10a、投下労働時間1,350時間(露地)、4月下旬播種、7~10月収穫
収量:3.5t/10a、投下労働時間1,550時間、3月下旬播種、6~10月収穫

2.品種

・主枝からの収量が中心の主枝型の品種と、側枝からの収量も多い主枝・側枝型の品種がある。
・短期間の収量をねらう場合は、主枝型の品種を密植栽培する。
・主枝・側枝型の品種は、疎植で栽培すると初期収量は少なくなるが、全期間の収量は密植栽培と大差がなく、強勢でいぼ果の発生が少なく、色が濃く軟らかい莢が収穫できる。
① ブルースカイ(みかど協和)
・鹿児島の露地(トンネル)では、ブルースカイの利用が多い。
・莢の突起が少なく、肌が美しいへこみの少ない正五角形。
・低節位から連続着莢する早生で、早期収穫が可能、莢色の退色もなく長期どりできる豊産種。
② ブルースカイZ(みかど協和)
・ブルースカイの品質はそのままで、4~5日早くとれる極早生種。
・莢の色はさらに濃緑、稜角のはっきりした、へこみが少ない正五角形。
・特に少突起果の発生が少なく肌が美しく高品質である。
・低節位から連続して着果する性質で曲がり果の発生が少なく秀品率が高い。
・ハウスから露地まで栽培が可能で、高温期に向かい草勢強く着色の濃淡もなく長期獲りできる。
③ グリーンソード(タキイ種苗)
・揃いが良く作りやすいF1の五角オクラ。
・初期生育が早く、早くから収穫できる。
・密植して育てることで軟らかい果実を収穫できる。
・側枝の発生もよく、切り戻し栽培にも向いている。
・果実の色も濃緑色で見た目がきれいで、イボ果の発生もほとんどない。
④ アーリーファイブ(タキイ種苗)
・主枝の低節位から多く着莢し、収穫初期から多収を望める。
・耐暑性が強くてスタミナがあることから、栽培後半まで収量を維持できる。
・草丈は中低で節間長は中短、葉の大きさは中小と比較的コンパクトな草姿であることから、トンネル栽培や露地栽培はもちろん、ハウス栽培も容易。
・莢形は稜角がはっきりした5角形で、莢色は濃緑で色つやにすぐれる。莢の曲がりも少ないことから、高い市場性を備える。
・適期収穫莢は、莢の肉質がやわらかく、食味がよい。
⑤ ガリバー(カネコ種苗)
・イボ果の発生が少なく、多収である。
・光沢のある濃い緑色をした、美しい五角形のオクラ。
・極早生タイプなので栽培初期からたくさん収穫できる。
・草丈は低めで節間は短く、曲り果やイボ果が発生しにくく、作りやすい優良品種。
⑥ エメラルド(タキイ種苗)
・タネが安く、品質も安定している固定種の丸オクラ。
・肉厚で、15~20gで収穫しても硬くならず、収益性がよい品種。
・デメリットは草丈が高くて節間が長く、収穫に手間がかかることである。
⑦ 島の恋(フタバ種苗)
・島オクラの赤タイプでF1品種の丸オクラ。
・他の丸オクラと違い、それほど背が高くならず生育が安定しているので栽培がしやすい。

3.畑の準備

(1) 適土壌と基盤の整備
・乾燥多湿にも強く、ネコブセンチュウによる被害が大きいため、畑地よりも水田が適している。
・土性はとくに選ばないが、直根性の作物であるため耕土は深い場所がよく、吸肥力がかなり強いので、有機物に富む肥沃な土壌に適する。
・夏場の乾燥は収量と品質に影響がでやすいので、地下水位の低い場所や乾燥しやすい砂質の土壌などでは灌水の設備が必要となる。
(2) pHの矯正と土壌改良
・pHは6.0~6.8を目安に矯正する。
(3) 土壌消毒
・オクラの病害虫のうち最も注意が必要なのはネコブセンチュウ類で、被害にあうと生育が極端に悪くなり、落花が多く、莢の伸長も悪くなって、激しいときには枯死する。
・ネコブセンチュウの被害が心配される圃場は、できるだけ水稲との輪作体系の中で栽培するか、土壌消毒を1ヶ月前までに終わらせておく
(4) 堆肥の施用
・事前に堆肥、切わらなどの有機物を投入して充分耕起し、保水性と排水性のよい深い耕土を準備する。
(5) 輪作
・果菜類の後作やオクラの連作地ではネコブセンチュウの被害が心配されるため、できるだけ葉・根菜類、イネなどとの輪作体系のなかで栽培する。
(6) 畝立て、マルチ
・畦の高さは排水を考え高畦にする。
・マルチを張ると雑草防除と地温確保、土壌水分保持に有効である。
・アブラムシの飛来をできるだけ少なくするためには、シルバーラインの入った黒マルチが有効である。

4.施肥

(1) 基肥
・オクラは直根性で吸肥力が非常に強いので、元肥窒素が多すぎると花落ちしやすく、着果節位が高くなるため、収量、作業性ともに低下する。
・したがって、追肥重点に施肥を考え、有機物を多めに投入して土つくりを行なうことが大切である。
・畑地は水田より多め、寒地では暖地より多めに窒素成分量を施す。
・砂質土やリン酸の肥効が悪い火山灰土なとではリン酸の施用量を増やす。
・以上のことから、基肥は窒素4~7kg、リン酸10~14kg、カリ10~13kg程度とし、生育に合わせ、窒素成分13~20kgを追肥する。
(2) 追肥
・1株当たり1~2果を収穫したころから追肥を始める。
・1回の施肥量は10a当たり窒素成分量で2~3kg、液肥で施すばあいは肥効が速いので0.5~1kg程度とする。
・追肥の間隔は、草勢(常に開花した花の上に2~3枚の展開葉を維持)を見ながら決めるが、月に2~3回が目安となる。
・追肥が遅れたり土壌の乾燥が激しかったりした場合には草勢か弱くなりやすい。莢は硬く、つやがなくなり色も淡くなる。さらに着莢、莢伸びが悪くなって収量・品質とも低下するので注意が必要である。

5.は種

(1) は種方法
・10a当たり4㍑用意し、1穴5粒まきとし、覆土の厚さは1cm程度の浅まきとする。
・種子は硬実であるので、播種前に一昼夜水かぬるま湯に漬けておく。
・苗立枯病予防のため、オーソサイドを粉衣して播種する。
(2) 栽植密度
・作型、栽培方法、品種によって栽植株数は変わるが、密植ほど初期収量が多くなる。
・栽培期間によって栽植密度を決定する。短期のばあいは密植、長期のばあいは疎植が適している。
・露地の2条植えの場合、畦幅160cm、ベッド幅90㎝、株間15cm、条間45cm、通路幅70㎝程度とする。
・ハウス栽培ではオクラの単価が高い時期に集中的に収穫し、利益アップを目指すので、畦幅135~150cmの密植にする。

6.管理作業

(1) 間引き
・播種後4~5日で発芽してくる。本葉が2~3枚のころに間引きを行なって、1穴3本立ちにする。
(2) 温度管理(トンネル栽培の場合)
・春先の高温により焼け症や節間の伸びが起こりやすいので25~28℃で換気を行う。
・晩霜の心配がなくなったら外気温にならしトンネルを除去する。
(3) 生育判断、草勢コントロール
・生長は本葉3~4枚ころまでは比較的ゆっくりで,以後急速となる。そのころからの栄養状態は次のようすで判断できる。

草勢強 草勢弱
・切込みの深い品種では、切込みが浅くなって丸みを帯び、葉柄が長くなる。

・上位葉が大きくなり、株元から逆三角形になる。

・葉が小さく硬くなり、色も褪せてくる。
・茎が太くなる。

・生長点から開花節までの長さが長くなる。

・茎が細くなる。

・生長点のすぐ下で開花するようになり、激しい時には節間が詰まって芯どまり症状になることもある。

・曲がり果が増える。 ・莢の伸びが遅く、硬くなって色が褪せてくる。

・草勢か弱いと判断されるときには、灌水と追肥で草勢の回復をはかるとともに,収穫が遅れないようやや若莢を収穫する。
・7~8月にかけては最も草勢が低下しやすく、夏場の栽培でいったん草勢か弱くなると、なかなか回復しにくい。葉が小さくなり始めたら早めに追肥を行なう。
・草勢が強すぎる場合、収穫莢の下まで強めに摘葉を行なって草勢の安定をはかる。
(4) 摘葉
・密植栽培の場合、特に摘葉が重要な作業となる。光線の透過をよくし、下位葉に光が当たるようにすると、着果と側枝の発生が促進され、莢色の濃いものが収穫できる。また、通風がよくなることで病害の発生も少なくなる。
・通常は、収穫が始まってから、その下の2枚の葉を残して下葉を摘む。ただし、草勢が強すぎる場合は、収穫が始まる前から摘葉を行い、その後も収穫莢のすぐ下まで摘葉して、草勢の安定をはかるようにする。
(5) 整枝
・180cm程度の支柱を立て、テープ等を利用して茎を支え、作業の効率と倒伏防止を行う。
・下位節位から発生する側枝はできるだけ利用し、主枝に準じて管理する。
・7月下旬頃、株が高くなりすぎた場合や作業が農繁期と重なった場合は、高さ約40cmで主枝を切り戻してから追肥をして、秋にもう一度収穫し直す、切り戻し栽培を行う。切った先から新しく芽が出るので、よい芽を1本だけ残して育てると、9~11月に品質の良いオクラをとることができる。
(6) かん水
・苗立枯病を防ぐため、本葉が展開するころまでは過湿にしない。
・本葉展開後は、乾燥状態にすると本葉3枚ごろまで生育が遅れるため、適湿を保つよう心がける。
・その後は、草勢も強まり乾燥に強くなることから、灌水の心配は少なくなる。
・7~8月の高温、乾燥期には、収穫の最盛期をむかえることから、乾燥による草勢と品質の低下を起こさないよう積極的に灌水する。
(7) その他
・防風対策と保温効果を兼ねて防風ネットの設置をおこなう。

7.主な病害虫と生理障害

(1) 注意を要する病害虫
・注意を要する病害は、苗立枯病、半身萎凋病、葉すす病、うどんこ病、灰色かび病、菌核病などである。
・注意を要する害虫は、ネコブセンチュウ類、アブラムシ類、オオタバコガ、ハスモンヨトウ、カメムシ類、フキノメイガなどである。
(2) 注意を要する生理障害
1) いぼ果
・莢の表面にいぼ状の小突起が発生したものをいぼ果という。
・発生の多少は品種による差が大きいが、肥培管理、気象条件などが影響していると考えられている。
・過繁茂な状態や草勢か弱くなった場合に発生が多い。
・低温と少日照でも発生が助長され、様々な要因が関係していると思われる。
・防止策は、極端な密植をさけ、温度、湿度、肥培管理を適切に行なうこと、発生の少ない品種を選ぶことなどである。
2) 曲がり果
・莢内部の子実の発育不良や機械的な障害が原因として考えられる。
・草勢が強すぎたり、弱すぎたりすると発生が多くなる。
・ホルモンのアンバランスが原因で子室内の子実の発育が揃わなかったり、カメムシなどによる吸汁によっても発生する。

8.収穫

(1) 収穫適期と収穫方法
・生育が順調であれば播種後65日頃より収穫が始まる。
・収穫時期が遅れると莢が硬化して品質を落とすので、適期収穫を心がける。
・開花後、収穫までの日数は6月で7日、7月で4日、8月で3日くらいである。
・収穫は毎日朝夕の涼しい時期に莢長8~10cm、果梗部を7~10mmつけて、鋭利なはさみで切り取って行う。
・収穫ピーク時には朝夕の2回収穫し、穫り遅れのないようにする。
・収穫物は、涼しい日陰で選別や荷造りを行なう。